医学部(いがくぶ)とは、大学において医学に関する研究・教育を行っている学部のことを指します。
一般的には医師を養成するための6年制大学という認識を持っている方が多いですが、それは医学部の中でも医学科のことを指しています。
医学部全体では、医学科のほか、看護・保健・栄養・薬学・生命科学などの学科を設けている大学もあります。中には4年制の学科もあります。ただし単に医学部というと、一般的に医学科を指すケースが多いでしょう。
近年医学部人気は非常に高く、入学の難易度、人気校の偏差値も年々高くなっています。その要因として1970年代に新設された医学部がある大学に当時入学した保護者(医師)の子供が医学部を志望していることだと言われています。また授業料を値下げする私立医学部が増え、一般家庭からの私立医学部を目指すことがメジャーになってきています。
医学部ではどんなことを学ぶの?
学ぶのは大別して基礎医学、臨床医学、社会医学の3つ。大学によって多少の違いはありますが、1年次は一般教育科目を中心に、リハビリ施設や老人医療施設などの医療現場で実習も行い、倫理観や医師としての心構えを身につけます。
2~4年次は専門科目と実験・実習が増えてきます。解剖学や生理学、病理学などの基礎医学と内科学、外科学、診断学などの臨床医学、疫学などの社会医学を学びながら、さまざまな実習をこなしていきます。
4年次には、修得した知識や技能、態度などを評価する全国共用試験を受けます。これにパスしないと5年次の臨床実習に進めません。5~6年次は臨床実習漬けに。所定の課程を修了し、卒業試験に合格すると、医師国家試験の受験資格が得られます。
医師には、全人的な治療ができる高い臨床能力だけでなく、臨機応変柔軟に対応できる能力、患者とその家族、またチーム医療を実践するうえで不可欠なコミュニケーション能力も求められています。6年間でそのベースとなる知恵・知識・技術を養っていきます。
近年は医療現場での国際化が進んでおり、日本でも国の内外で活躍でき、地域医療の担い手ともなりうるようにと国際交流プログラム、海外留学に力を入れている大学が増えてきました。
医学部卒業後の進路は?
医師資格取得後2年間は、大学附属の病院などで臨床研修医として勤務することが必要です。いわば医者の見習い期間で、この間に自分が進みたい診療科(内科・外科・小児科など)を正式に決めます。はじめから内科医、外科医と決まっているわけではないのです。
医学部卒業生の進路で最も多いのはこの臨床医ですが、大学院に進みさらに高度な医療者、研究者を目指す学生も増えています。先進医療技術が日々進展していますが、難病の原因やその治療法など未知の領域も多く、医学に終わりはありません。大学院卒業後、官民の研究所や開発機関で基礎研究や応用研究などに取り組む研究者も増えています。iPS細胞の山中教授などがそれにあたりますね。
医学部地域枠推薦や修学資金貸与制度を使った学生は、一定期間へき地等の指定公立病院等に勤務するケースもあります。