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現役歯科医師が伝える現場 vol.1「歯科医師を目指す方へ」

歯科医師のイメージ

はじめまして。この記事を読まれている方は学生の方か、あるいはその保護者の方が多いかと存じます。「歯科医師と患者さん」という立場から離れ、そのような方々とお話をする機会をいただいたことを、とても光栄に思います。私は歯科医師ですが、この職業に興味を持ったきっかけは、父が歯科医師であったからです。幼少時より開業医として働く父の姿を見ていましたので、「なんとなく」憧れて自分も歯科医師を目指してしまった、といった具合です。そして、きっとこの記事を読んでいる学生のみなさんも今、学生当時の私と似た気持ちなのではと推測します。「なんとなく」歯科医師という職業に興味を持ち、この記事を見にきたのではないでしょうか。

歯科医師のイメージは?本当に「過剰」なの?

皆さんは歯科医師というのは、資格取得後はほぼ全員、どこかの病院やクリニックで虫歯を治す仕事をしているものだと考えていることでしょう。概ねその通りですが、実はその中にも専門とする科目があったり、また、歯の治療にあまり縁のない歯科医師も存在します。なので、「歯を削ることに興味はないよ」という方も、歯科医師という職業を見直してみる価値はあると思います。

現代は「歯科医師過剰」とは言われていますが、それでも歯科医師の人口は10万人に対して約82名と、決してありふれた職業ではないことがわかります(『平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況』より)。身内にいない限り、診療以外の場で歯科医師と話す機会があるという方もなかなかいないことでしょう。そのような状況の中で「絶対に歯科医師になる」と考えられる方は珍しいです。

歯を削るだけではない?歯科医師の仕事とは

歯科医師になるには歯科大学に6年間通い、歯科医師国家試験に合格する必要があります。卒後は専門の機関で1年間研修医として学び、ようやく歯科医師としての勤務が可能になります。大学院等で学び、口腔外科や歯科矯正科、インプラント科、小児歯科などの専門的な技術を身に着けることも可能です。特に口腔外科は口腔癌の手術手技なども学ぶことができますので、より医師に近い仕事を受け持つことになります。

歯科医師の仕事は歯を治すことだけではなく、口の中全体の健康を守ることですので、舌や歯肉、唾液腺、あごの関節など、さまざまな部分を診察できる能力が求められます。全体の9割以上の歯科医師は、このような過程を経て病院やクリニックに勤務し、患者さんを受け持ち治療を行う、みなさんがよく知っている歯科医師です。自ら開業し院長になったり、勤務医として働く者もいます。

それでは残り1割弱の歯科医師は何をしているのでしょうか。大学などの専門機関に残り研究を行う者、学生教育に携わる者、行政機関で働く者、病理医として病気の診断を任される者など、さまざまな仕事につきます。私もその中の一人です。私は歯科衛生士の専門学校などで教壇に立ち、教育の仕事をメインにしていました。歯を治療することより、治療する人間を育てることの方が好きだったのです。

学び経験をし、将来を決めていく自由さ

ここで私が言いたいことは、おそらく多くの歯科医師が、「歯科医師になろう」と決めた若かりしとき、自分の仕事を具体的に決めてはいなかったであろうということです。歯科医師という職業の面白い点はそこにあります。歯科医師は「数が過剰で仕事がない」「専門性が高く潰しが効かない」などと思われることもありますが、全くそんなことはなく、むしろ卒後の進路は多岐にわたり、かつどの仕事についてもそれなりの収入を得られる、大変安定した良い職業であると感じます。在学中に多くを学び、実際に経験をし、それから自分に合った細かな専門を決めることができるのです。

歯科に限らず、医療に携わる仕事は責任が重く、とても大変です。小さな怠惰が大きなミスを引き起こし兼ねませんし、卒後も日々勉強で、新しい知識や技術を吸収し続けなくてはなりません。しかし、その分とてもやりがいがあります。患者さんの笑顔や感謝の気持ちは何にも代えられない喜びがありますし、論文で発表される新たな発見は大変興味深く、追求のし甲斐があります。

歯学部受験を検討しているみなさん、ぜひ大学でたくさん学び、素敵な歯科医師を目指していただきたいと思います。

プロフィール
ライターの写真

2009年私立東京歯科大学歯学部卒業、歯科医師免許取得。東京歯科大学水道橋病院にて研修後、歯科クリニックに勤務。2011年より都内の柔道整復師、歯科衛生士などの専門学校にて講師としての仕事を始める。

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